ゴミ収集車
現代における快適な生活を裏で支えてくれている、ゴミ収集車。いろいろな種類があることに注目してみよう。
ゴミ収集の日、家庭から出たゴミを回収してくれるゴミ収集車。
作業員がゴミを投入すると、回転板が器用にそれを奥に押し込んでくれる。
ゴミ収集車の中身はどうなっているのだろうか。
よく目にする「クリーンパッカー方式」の収集車(略してパッカー車)で、そのしくみを説明しよう。
パッカー車は、おもに燃えるゴミを収集するのに利用される。
後部に回転板が2枚配置され、これが組み合わさって回転することで、ゴミを運転席側に押し込む。
収集を終えてゴミ処理場に戻ったら、詰め込んだゴミを仕切りの排出板(はいしゅつばん)で外に押し出す(ダンプカーのように、荷台を斜めにして圧縮ゴミを排出するものもある)。
パッカー車以外に街中でよく目にするのが、プレスローダー方式のゴミ収集車だ。
左ページ上図のように、高い圧縮性能が自慢(じまん)の方式である。
ゴミ収集車には、ほかにもいくつかの方式があり、大きさの違いもあるが、この多様性には理由がある。
一つは、集めるゴミ・集める地域に適した方式と大きさが要求されるという、至極(しごく)当然の理由だ。
もう一つ、隠れた理由がある。
ゴミ処理施設の建設費が高騰(こうとう)しているからだ。
ゴミ処理施設、特に焼却施設は公害対策のために高度な技術が要求される。
また、エコ社会実現のために、燃やした廃熱で発電する施設を併設することも時代の流れだ。
当然、建築コストは膨大(ぼうだい)となり、小さな自治体ごとに建設するのは財政的に困難だ。
そこで、いくつかの自治体がまとまって一つのゴミ処理施設を作り、一手に処理するというネットワーク方式が一般的になりつつある。
そのネットワークに対応するには、多様なゴミ収集車が必要になる。
家庭からのゴミは、まず小型のゴミ収集車でゴミ中継施設に集め、そこでさらに圧縮して大型のゴミ収集車でゴミ処理施設に運ぶ。
このようにして、効率的なゴミの移動と処理を可能にしているのである。
【執筆・監修】
中経出版 「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」 JLogosID : 8567118 |