MENU
    全辞書一括検索 by JLogos

東京-五つ星の蕎麦コラム > そばの愉しみ

そばの色香

そばのいいのは、秋深くから冬にかけてだろう。新そばのころは、昔からそば好きには嬉しい時節だった。いまや科学技術の進歩の恩恵は、そばの世界にももたらされた。玄そば(殻のついたままのそば)を低温恒湿倉庫できちんと存することにより、私たちは、香り高いそばを一年中味わえるようになった。

美味しいそばの条件に「三たて」というのがある。「挽きたて、打ちたて、茹でたて」である

茹で上がったそばの味は淡いが、艶があり、そばの角が立って瑞々しく、殻の直ぐ下にある香りが活きている。しかし、時がたつにつれて、艶、香り、腰、喉越し、味が、急速に失われてゆくのだ。

だから、そばの食べ方の作法には道理がある。そばがあれほど長いのも、堅すぎてはいけないのにも、道理がある。箸で、すうっと持ち上げ、端を僅かにつゆに浸し、すすり込む。そばが喉元を通りすぎると、ほのかな後鼻香が戻ってくる。うどんにはあり得ない、完全にはしなやかならざる強張り、それにかすかなざらつきが、そばの、えもいわれぬ感触を、口に喉に持続させる。と、突如、甘辛いつゆが、きりっと舌に響き、いい出し汁味わいが充実感となって、余韻をかもす。この階調とリズムこそ、江戸っ子という都会人が、時を費やして練り上げてきた美意識ではなかろうか。




東京書籍 (著:見田盛夫/選)
「東京-五つ星の蕎麦」
JLogosID : 14071329

【お隣キーワード】汁と薬味  そば猪口と汁徳利  ?手作業の復興とともに到来した繁栄の時代  ?独自性に満ちた下呂「仲佐」のそば  
【辞典内Top3】 直利庵  野麦  神楽坂 玄菱  

この辞典の個別アプリ

東京五つ星の蕎麦
老舗から新鋭店まで、都内と近県の118の名店を料理批評家・見田盛夫が厳選し紹介。蕎麦店のガイドブックアプリ。

関連辞書

東京五つ星の鰻と天麩羅 東京五つ星の肉料理 東京五つ星の魚料理 東京五つ星の中国料理 全国五つ星の手土産 

関連書籍

 東京書籍「東京-五つ星の蕎麦」

出版社:東京書籍[link]
編集:見田盛夫/選
価格:1,836
収録数:217軒
サイズ:19.8 x 12.2 x 2.2cm()
発売日:2006-12-01
ISBN:978-4-487-80147-3

JLogosPREMIUM(100冊100万円分以上の辞書・辞典使い放題/広告表示無し)は各キャリア公式サイトから

             × 閉じる

収録辞書全リスト