【東京五つ星の肉料理】牛肉料理 > 台東区
ちんや
【ちんや】

赤身肉の調理にも自信あり

獣医を務めつつ大名や豪商に狆などの愛玩動物を納める家業から、江戸時代には一般に「狆屋」と呼ばれていた。明治13年(1880)にこの呼称をそのまま屋号として料理屋に転じ、同36年、すき焼(当時は牛鍋)専門店に再転身した。創業時と変わらず雷門の目と鼻の先に、鉄筋7階建ての堂々たる店鋪を構え、外国人も含めて日夜多彩な客を集めている。
十分な肥育期間を経た雌の黒毛和牛の肉を、地下の冷蔵庫で3週間ほど熟成させてから用いるが、要はこの店の割下と調理法に合うかどうかが大事だという。霜降りがすき焼に向いているのは、熱し過ぎても硬くなりにくいためだ。逆にいえば赤身でも、煮る加減さえ注意すれば問題はない。肉本来の味にあふれた赤身(シャクシ、ランプなど)をたっぷり賞味できるのも、調理に細心の気配りを込める当店ならでは。
温度・湿度により微調整する割下と厳選肉、適度の火加減。三拍子そろったすき焼に満足して帰る客の、何と多いこと。
![]() | 東京書籍 (著:岸 朝子/選) 「東京五つ星の肉料理」 JLogosID : 14070847 |