【旬のうまい魚を知る本】 >
▼古くは「瘡子」と書いていた

カサゴはもともと東京周辺の呼び名であった。ごつごつした顔がいかにも瘡蓋(かさぶた)におおわれているようなので、瘡子=カサゴと呼ばれたと思われる。今は笠子の漢字を当てる。頭がいやに大きく、まるで三度笠をかぶっているように見えるからにちがいない。瘡子よりもうまそうでもある。今日では希少価値も手伝って高級魚の部類にはいっているが、江戸時代にはまるで人気がなかったようで、当時の呼び名はあんぽんたん。まずいのがその理由だったというから、江戸っ子の味覚はわれわれと相当の開きがあったといえよう。次の川柳でも江戸の頃のカサゴの評価がわかるというものだ。〔間男と亭主あんぽんたんで飲み〕
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070009 |