指切りげんまん
【ゆびきりげんまん】
遊女が客との約束で小指を切ったことがはじまり
子どもが約束をするときに小指と小指を絡み合わせてする「指切りげんまん」。「ウソついたら、針千本の?ます、指切った」と結構残酷な終わり方になっている。さて、実はこの「指切り」、江戸時代の遊女がお客に誠意を見せる証の一つだったという。証を見せるということは、心のなかを見せるということで、「心中立て」ともいった。誓詞と一緒に髪の毛を切って渡す、爪をはがして渡す、さらに強力なものとして小指を切って渡すというのがあったのである。もちろん、心中立てがさらに進むと「心中する」(一緒に自殺する)となる。この「指切り」が転じて、約束を守る印に互いの小指を引っ掛けるようになったと考えられる。子どもたちの間の風習になるには、ちょっと理由がヘビーすぎるか。民俗学者柳田國男の『西は何方』所収の「蟷螂考」によると、指切りは「疣切り」からきているという。「げんまん」のほうは、「拳万」と書き、約束を破ったときには拳固(握りこぶし)で一万回打ちますよ、という制裁の意味。かわいらしい子どもたちが使うような意味ではなく、どうやら、とっても厳しい掟のようだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820928 |