南方熊楠②
【みなかたくまぐす】
いつでもどこでも反吐を吐ける奇人博物学者!?
熊楠には様々な「危言奇行」が逸話として残っている。たいへんな健脚で、少年時代から植物の採集のために熊野三山や大和紀州の険しい山に平気で登り、そのあげくに数日行方不明になったこともある。本人はけろっとしたものだが、周囲は天てん狗ぐにさらわれたのではと大騒ぎ。後に「てんぎゃん」(天狗さんの意)というニックネームをつけられたほどだ。胃袋も相当不思議な構造になっていたようで、食べた物を何度でも口に出すことができたという。牛の胃袋のようなもので、この能力を利用して、熊楠は気にいらない相手がいると、反吐を吐きかけていたらしい。この能力は少年時代からすでに発揮されており、多くの同級生や先生が犠牲になった。反吐は熊楠の武器の一つだったのである。どんな偉い学者が訪ねてきても、気にいらなければ会おうともせず、会っても気に入らなければ反吐を吐きかけた。ロンドンの日本大使館で、立小便をとがめた公使に向かって反吐を吐いたこともあったようで、しばらくの間、大使館の絨毯には熊楠の反吐の跡が残っていたという。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820872 |