フレスコ技法
【ふれすこぎほう】
「フレッシュ」に描けばフレスコ画!
ミケランジェロの代表作の一つに、システィナ礼拝堂の天井に描かれた『最後の審判』がある。フレスコ画の傑作としても有名な作品だ。フレスコ画とは、漆喰の壁や天井などに描かれた絵画・壁画のことで、下地である漆喰が乾ききらないうちに水溶性の顔料で描くものだ。乾いてしまってからでは修正もできないとあって、的確な判断力など高度な技術を要する。乾ききる前に仕上げるという迅速性から、イタリア語で「新鮮な」、つまり「フレッシュ」にあたる「フレスコ」画と名づけられた。フレスコ画には「ブオン・フレスコ」という湿式法と「フレスコ・セッコ」という乾式法などの技法がある。ブオン・フレスコは「真正(本物の)フレスコ」という意味で、乾く前の湿った漆喰の上に描くもの。なぜ湿った状態が大事かというと、水溶性の顔料を使うことで、その顔料を湿った漆喰に染み込ませ、内部まで色をしっかり定着させるためである。フレスコ・セッコは「乾いたフレスコ」という意味で、「テンペラ」とも呼ばれる。その名の通り、乾燥した漆喰の上に描く。乾燥しているため顔料を漆喰内部まで染み込ませることはできない。そのため顔料に定着剤を混ぜた不透明な絵の具で描かれる。ブオン・フレスコは定着剤を使わないこともあり、かなり古くから使われていた。ラスコーの壁画も天然のブオン・フレスコ画だといわれる。イタリア南部のベスビオ火山の噴火によって埋没してしまった古代都市ポンペイの壁画も高度な技術のフレスコ画だといわれる。そしてその後、ルネサンス時代に、ミケランジェロやラファエロ、ティエポロなどによって、フレスコ画はその最盛期をむかえることになる。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820783 |