富士山①
【ふじさん】
雲よりも高い富士山頂に、雪が積もる理由
日本一高い山といえば富士山である。富士の絶景といえば、真冬に山頂部だけに雪が積もり、青みがかった山肌のてっぺんだけが、真っ白に輝いている風景だ。だが、よく考えてみると、山頂より低いところにしか雲がないのに、山頂に雪が積もって白くなっているのはなぜだろう。そもそも雪は、雲に含まれている水蒸気が急激に冷やされて氷結し、地上に落ちてきたものだ。雲より高い位置に雪が降るはずはないのだから、ますます不思議になってくる。だが、これはとても簡単な理由による。普通、雪や雨は一万三〇〇〇メートルほどの上空から降り注いでくる。富士山は三七七六メートルだから、天下の富士山をもってしても、そのまたはるか上空から降り注いでいるので、当然雪が積もるというわけだ。私たちは肉眼で雲の形をしている白い雲しか見ないので、低い位置の雲にばかり目を奪われてしまうが、実はもっともっと上空に雲はたくさん発達しているのだ。富士山の近くにかかっている雲があると、美しいのでそちらに気を取られるが、実際には、気温さえ下がって条件が整えば、いつでも山頂が雪景色になるのだ。あのエベレストも八八四八メートル(ネパール政府公認)の高さであるから、上空から雪が降り積もることとなる。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820769 |