フクロウ
【ふくろう】
なぜフクロウのイメージは、メガネをかけた博士になったのか?
動物のなかで、最も物知りなイメージがあるのがフクロウである。イラストなどでは、フクロウは大学帽を被り、メガネをかけていて、いかにも「博士」といった外見で描かれる。では、実際はどうかというと、フクロウはそれほど賢いというわけではないようだ。たとえば、カラス退治に田んぼにかかしを立てても、カラスが恐れをなして近寄らないのははじめだけで、やがてカラスは近寄ったからといって追い払われることがないことに気がつく。その点、フクロウは、カラスのように学習能力はない。また、新しい環境への対応も苦手である。これは、フクロウには天敵がいないため、そのような知恵をつけなくても十分に生き延びられる環境にあったことが大きいようである。さて、フクロウの本当の実力はさておき、フクロウと知恵を結びつけたのは、ギリシア神話である。ギリシア神話のなかでは、フクロウは女神アテネの従者とされた。女神の従者という地位は特別である。そこからフクロウは特別な鳥という位置づけになった。その「特別な鳥」のイメージが、いつしか鳥のなかでも「賢い」「物知り」というように発展し、知恵のシンボルとされるようになったのだ。また、フクロウの外観がそうしたイメージにぴったりだったことも否めない。鳥の目は普通、顔の横についているので、ほぼ全円(三四〇度ほど)が見える。フクロウの目は正面を向いているので、視野は約一一〇度ほどだが、両目の視野の重なりが七〇度前後もあって距離感が正確に把握できる。しかも、明暗の感度は人間の一〇倍以上あるといわれる。音を知覚する能力にも長け、顔の形状は音を集める効果を高めるために湾曲している。これらの結果、「メガネをかけられる鳥」として最適なイメージを獲得したのである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820766 |