福沢諭吉②
【ふくざわゆきち】
アメリカ少女とのツーショット写真を大自慢
謹厳な教育者として後年に名を残した諭吉だが、咸臨丸での渡米時にサンフランシスコで一人のアメリカ人少女と写したスナップ写真を、何十年も大事にして、ことあるごとに人に見せびらかしていたという、稚気あふれるエピソードも残している。持ち前の好奇心から、上陸したサンフランシスコをあちこち見学して回ったとき、たまたま街角で知り合った少女と写したものだったが、彼はそれを滞米中は秘密にしていた。他人に見せたのは、帰国途中に寄ったハワイを出航してからだった。そのとき諭吉は、「せっかくサンフランシスコに長く滞在していたのに、女性と並んで写真を撮ろうなどと誰も思わなかったのか。アメリカの女性は街角で声をかけたら、快く応じてくれたぞ。君たちは口であれこれいうだけで、何も実行しなくては意味がないじゃないか」と自慢する。サンフランシスコで写真を見せると、みんながマネをするから隠しておき、ハワイも離れてもうどうにもマネするチャンスがなくなって初めて見せて、同行の人たちをうらやましがらせたのだという。これこそ後に提唱する実学の実践だったのか、それともただのミーハー気分で女性とのツーショット写真を撮ったことを自慢したかったのか、本心はいまとなってはわからない。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820765 |