ファラオ
【ふぁらお】
古代エジプト初代ファラオは、「ナマズ」か「サソリ」か?
古代エジプト文明は、二つの土地が統一されたところからはじまるといわれている。その初代のエジプト国王を「ファラオ」というが、そのファラオを象徴する造形物が「ナマズ」か「サソリ」かということが物議をかもしている。統一前の二つの土地の一つはメンフィスからアスワンにいたる上エジプト、もう一つはデルタ地帯を含む下エジプトである。通説では、統一は紀元前三一〇〇年頃で、統一した初代の王は定かではなく、いくつかの候補者が挙げられている。ナルメルかスコルピオンか……。ナルメルとは荒れ狂う「ナマズ」という意味。ずい分恐ろしげな名前であるが、この説を支える物的証拠は一八九七?九八年にかけておこなわれた上エジプトのヒエラコンポリスの発掘で発見されたパレット。この重要な出土品はナマズの絵文字の彫刻が施されており「ナルメル・パレット」と呼ばれている。一方、スコルピオンは「サソリ」の意味。儀式のために使われるメイスヘッド(鉾の先)にある頭部のスコルピオンの飾りにちなんでそう呼ばれているが、このスコルピオン王と呼ばれる人物は、上エジプトでも下エジプトでも、それぞれの王として自らを表現させた奉納化粧板をつくらせているので、スコルピオン王が統一王朝以前の王という考えも根強くある。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820755 |