冷奴
【ひややっこ】
冷奴の「やっこ」は、大名行列の先頭を歩いている人のこと
冷やした豆腐を大きめの直方体に切り、ネギやショウガ、ミョウガ、鰹節などの薬味を添えて食べる「冷奴」。簡単にできて、食欲がなくなる暑い夏にもツルリと食べられる一品だ。この「冷奴」、別名「奴豆腐」などとも呼ばれるが、豆腐と奴とはどんな関係があるのだろうか。「奴」とは、江戸時代、大名や武家に雇われて雑用をこなしした人をいう。大名行列などで、「槍持奴」として槍を振りながら先頭を歩くこともあった。この奴さん、トレードマークとして着物の筒袖のところに「白くて四角い」紋を大きく染め抜いていた。そこから、白い豆腐を四角く切って食べる料理を「奴」というようになった。冷やした豆腐を四角く切っているから「冷奴」、湯豆腐にすると「湯奴」、または豆腐がアツアツになるので「熱奴」などともいわれた。冷奴は、江戸時代の頃にはすでに広く知られた料理法であった。また、食材を大きく四角に切ること自体を「奴に切る」ともいう。同じ四角に切る切り方でも、「奴切り」は「大きく」切るというのがミソ。一センチ角ぐらいの大きさになってしまうと「賽の目切り」になる。さらに小さくなって五ミリ角ほどのサイズになると、「霰切り」となる。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820747 |