日立の樹
【ひたちのき】
日立製作所のCMで有名なハワイの樹が危機に!?
日本で最も有名な樹かもしれない、日立製作所のCMに登場するあの大きな樹。一九七五(昭和五〇)年からCMに登場しており、「♪この木 なんの木 気になる木……」のCMソングもおなじみだ。あの樹は、実はハワイのオアフ島にある。高さ約二五メートル、枝の広がりは約四〇メートルにもなる。ただし、大きな一本の樹に見えるが、実際には複数の木が集まってできている。学名は「サマネアサマン」。地元では「モンキーポッド」という名で呼ばれている。日本のネムノキに似ていて、日の出に開いた葉は、午後には閉じてしまう。花もネムノキに似た、白いかわいらしい花を咲かせる。生長が早いので、CMに登場する大樹でも樹齢は一三〇年ぐらいである。実は、この日立の樹に最近、伐採の危機が訪れた。この樹があるハワイのモアナルア・ガーデンパークのオーナーの死去にともない、同パークはリゾート開発業者に譲渡されるのではないかとの噂が広まったのである。そうなると、この樹は切り倒される運命ということになる。関係者はやきもきしたが、最終的には前オーナーの親族が経営する会社がこのパークを買い取ることで決着がつき、パークは広く一般に開放されることになった。このため日立製作所では、この大樹を守るためにパークの維持、管理、およびCM契約料として、年間約四〇万ドルを支払うことで樹の保存を支援することとなった。モアナルア・ガーデンパークはホノルル国際空港に近いので、気軽に立ち寄ることができる。オーナー親族の深い理解と日立製作所の粋なはからいで、大きく伸び伸びと育っている「気になる木」が気になってしかたのない人は、ハワイ旅行のついでに自分の目で確かめてみるとよいだろう。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820742 |