ゾウムシ
【ぞうむし】
味にうるさいオオゾウムシはビールにつられてやってくる
吻と呼ばれる口にあたる部分が長くのびて、まるでゾウの鼻のような形をしている甲虫、ゾウムシ。そんなゾウムシのなかでも、体長約三センチという、ひときわ大きいのがオオゾウムシである。このオオゾウムシ、実はたいへんなビール好きらしい。しかも単なる「飲兵衛」ではなく、味の違いがわかるかなりの「ビール通」なのだ。実験で、松林の土中にビールを入れた紙コップを埋めておくと、二、三日後にはビールを飲みに集まったオオゾウムシがコップのなかでひしめきあっているという。しかも銘柄にもこだわりがあり、いちばんの好みは黒ビールだそうだ。試しに黒ビールを水で薄めてみたところ、途端に集まる数が減ったというから、オオゾウムシの味覚の鋭さがわかる。ビール通のオオゾウムシだが、幼虫時代の主食は木材である。産卵は、吻で樹皮に穴をあけて、その穴にするという説と、樹皮の割れ目を見つけて、そこにするという説があるが、いずれにしても樹木のなかに産みつけられる。幼虫は木材のなかに体がすっぽりとはまるくらいのトンネルを掘って生活している。トンネルは成長するにつれて太さ、長さともに大きくなるが、これは壁やいちばん奥の部分を食べることで掘り進めている結果だ。幼虫はそのままトンネル内で蛹となり、羽化すると外界へと出てくる。成虫は樹液や果実の汁などを食糧としているが、おそらくかなりのグルメと思われる。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820498 |