【雑学大全2】 >
植物
【しょくぶつ】

精子をつくる高等植物もある
そもそも精子とは、自分の力で動いて卵細胞まで行って受精をおこなう雄性の細胞のことである。この精子は、普通は動物の繁殖にしか使われない用語と思いがちだが、なんと植物の世界にも当たり前のように存在している。植物の世界では、普通、いわゆる高等植物である種子植物は精子をつくらない。種子植物は運動能力がない精細胞が花粉の中にあって、長い花粉管が伸びて卵細胞に送り届けられるのだ。一方で、コケ植物、シダ植物などのいわゆる下等植物は精子をつくって繁殖するのが通例である。コケ植物は、水中に生活する藻類と陸上生活の高等植物との中間に位置する「植物の中の両生類」といわれる種類である。この種は自らの体の上に造卵器と造精器をつくり、雨などによって精子が泳ぎ出し受精がおこなわれる。シダ植物も同様で、その精子を拡大して見てみると、一つの精子から無数のヒゲのような鞭毛が伸びていて、とても植物とは思えぬ形をしているものがある。ところが、一八九六年、平瀬作五郎というという人物がイチョウで、池野成一郎という人物がソテツで、それぞれ精子を発見した。この二つはいわゆる高等植物(種子植物のうちの裸子植物)だったため、植物界では非常に大きなニュースとなった。なお、平瀬作五郎が精子を発見したイチョウの木は、いまでも東京の小石川植物園に記念碑とともに保存されている。
![]() | 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820429 |