十二指腸
【じゅうにしちょう】
本来の意味は、「十二インチ」の腸
十二指腸は、胃と小腸をつなぐ消化管であり、膵臓から出る膵液と胆嚢から出る胆汁によって、胃から送られてきた食べ物の分解、消化をおこなうのがおもな役割である。ところで、「十二指腸」という名前は、人の指を一二本横に並べた長さからきたといわれることがある。しかし、十二指腸の長さを実際に測ってみると、三〇センチほどもある。指一本の幅を約一・五センチとすると、一二本並べても、十二指腸の長さの半分強にしかならない。さて、いったい「十二」という数字はどこからきたのであろうか。実は十二指腸という名前は英語からきたものだが、英語では「指」の意味は含まれていなかった。翻訳する際に、「十二インチの腸」となるところを、「インチ」という単語を知らなかった当時の人によって「指」と訳されてしまったのである。単にインチが耳慣れない言葉だったので指のほうがわかりやすいだろうと、インチを指に置き換えたという説もある。いずれにしても、翻訳の際の手違いで、今日まで「十二指腸」と呼ばれるようになったようだ。つまり、意味ありげに名前に含まれる「指」は、本来の意味とはまったく関係がなかったのである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820405 |