硬貨
【こうか】
一円玉に描かれている木だけは、架空のもの
現在使われている日本の硬貨のなかに、架空の絵柄がデザインされた硬貨がある。一円玉である。この一円玉は、戦後では初めてデザインが公募された硬貨であり、表と裏はそれぞれ別々の人のデザインだ。架空の絵柄というのは、表の部分にある「木」。ブナやオリーブなど木の種類については諸説あるらしいが、デザインした中村雅美氏は、生き生きと伸びる若木を日本の成長にたとえてイメージしたそうで、特定の樹木をモデルにはしていないという。つまり架空の木ということだ。ちなみに、そのほかの硬貨の表には、きちんと架空ではないものがデザインされている。五円が稲穂、歯車、水。一〇円は平等院鳳凰堂と唐草。五〇円は菊。一〇〇円は桜。五〇〇円は桐である。これらは造幣局によるデザインで、財務省の意見を取り入れながら、偽造対策なども万全になされるため、いくつかのデザインのなかから閣議で決定されるという。いちばん新しいところで二〇〇〇(平成一二)年以降発行の五〇〇円玉は、それ以前の五〇〇円玉とデザインを変えずに、見る角度によって〇(ゼロ)のなかに数字が見え隠れする潜像加工、横のギザギザが斜めになっている「斜めギザ」、微細点加工、微細線加工など、大きく四つの貨幣偽造対策が施され、複雑なつくりになっている。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820289 |