携帯電話
【けいたいでんわ】
不要になった携帯電話は、新時代の「金脈」として利用されていた!
次から次に新機能を搭載して成長を続けている携帯電話。いまや、ただの通信機器ではなく、すっかりホビーツールといった存在である。それだけに消費者の買い替えのサイクルが速まり、携帯電話は使い捨て状態といえる。不要になった携帯電話は、消費者にとってはゴミでしかないかもしれないが、実は製造メーカーにとってはこれが宝なのだ。携帯電話端末には、様々な金属が使われていて、そのなかには金や銀といった貴金属も含まれている。たとえば、あるリサイクル業者によれば、携帯電話端末を総重量一トン集めたとき、そこに含まれる金属は、銀がおよそ一・五キロ、金がおよそ三八〇グラム、銅がおよそ九〇グラム、パラジウムがおよそ六〇グラムにもなるという。ほかにも少量ながらニッケルやコバルト、アルミニウムなども回収可能な金属だ。微量と思われるかもしれないが、これは鉱山から原石を掘り出して精錬するよりはずっと効率がいいのである。しかし、リサイクルへの消費者の協力は、二〇〇〇(平成一二)年度をピークに減少傾向にあるという。それは携帯電話の多機能化と足並みをそろえているが、これは消費者が写真やメールを残しておきたいという気持ちから、端末を手元に残しておくケースが増えたからだという。さらに個人情報保護の意識が高まり、回収に応じるのをためらうというケースも増えたそうだ。リサイクル業者は、「宝の山」を手に入れるために、保存や蓄積データの新端末への引き継ぎ機能や、個人情報を完全に消去する技術の開発に必死に取り組んでいる。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820270 |