薬①
【くすり】
多くの薬に生かされている色彩と心理
西に黄色のものを置くと金運アップ……。最近、色に関する風水が話題に上がることも多いようだが、それだけ色が私たち人間に与える心理的影響は大きいということだろう。健康な状態でもそうなのだから病気のときはなおさら、というわけで、病院で出される薬にも色が効果的に使われている。たとえば、一般に不眠症の薬には紫や藤色、血圧降下剤はえび茶、食欲不振には緑やオレンジのカプセル、ビタミン剤には赤や緑、うつ病の薬にはオレンジや黄色、咳止めには青や茶といった具合である。これは一九四七年に色彩心理テストで知られるマックス・リュッシャー博士がおこなったテストに基づくものであり、それ以来多くのメーカーの薬がこれらの色を使っていることが多い。テストはそれぞれの病気の患者に嫌いな色をあげてもらい、それぞれ順位の低い色を選んで、薬のカプセルに適した色と判断したとされている。もちろん、薬によっては色素の成分によって、使える色が限られている場合もあるので、すべての薬が心理的に考慮された色というわけではない。また、カプセルだけでなく外箱やパッケージにも心理的な効果を計算した色が使われている。風邪薬のパッケージには黄色やオレンジなど暖色系が使われることが多いのもそのあらわれだ。暖かみを感じる暖色系を使うと、頭痛や寒気などのつらい症状が落ち着いて、リラックスするのだという。実際の売り上げもパッケージの色によってずいぶん変わるそうだ。黄色やオレンジは、強壮剤やビタミン剤など、活力を得る商品のパッケージにも使われている。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820250 |