九州
【きゅうしゅう】
かつては九つの州があったの?
九州には、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島の七県しかない。沖縄を含めても八県で、九つの「州」ではない。では、八県なのに九州とはこれいかに、ということなのだが、現在の県名になる前は、実際に九つの州(国)に分かれていたことによる。さかのぼること一三〇〇年ほど前の八世紀はじめ頃、律令制により日本が五畿七道(大和、山城、河内、摂津、和泉の五畿と東海道、東山道、北陸道、山陰道、山陽道、南海道、西海道の七道)に区分されると、行政官庁である大宰府は、筑前、筑後、豊前、豊後、肥前、肥後、日向の七国と壱岐、対馬の二島を合わせて「西海道」とし、いまの九州地方を統轄した。そして、その後には様々な変遷を経て、地つながりの薩さつ摩まと大隅の二国が加わって、二島以外の「筑前、筑後、豊前、豊後、肥前、肥後、日向、薩摩、大隅」から成る九州本島を「九州」と呼ぶようになったようだ。それでは、沖縄県は九州か? 九州ではないか?一六〇九(慶長一四)年、島津氏の征服によって琉球王国は九州地方の一部に入った。その後、明治時代に沖縄県となったが、第二次世界大戦時はアメリカの統治下に入って、いったんは九州とはいえない状況が続いた。その後、終戦があり領土が返還された一九七二(昭和四七)年、再び日本の領土となり、九州地方の一部となった。したがって、現在、沖縄は広義では九州地方の一部である。ちなみに、四国も、五畿七道時代の南海道のうち紀伊と淡路を除いた、阿波、讃岐、伊豫、土佐の四つの国があったことがその名の由来だ。いまは徳島、香川、愛媛、高知の四県である。なお、北海道は、五畿七道には入らない。明治時代に入り、法令で蝦夷地が北海道と改名されたのは、一八六九(明治二)年である。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820227 |