逆性石鹸
【ぎゃくせいせっけん】
逆性石鹸って何? 何が逆なの?普通の石鹸と混ぜたらどうなるの?
逆性石鹸はおもに病院や飲食店で、手の殺菌や消毒に使われている。また、衣服の柔軟剤や頭髪用のリンスなどにも利用されている。普通の石鹸が水に溶けると陰イオンになるのに対して、逆性石鹸は水中で陽イオンになることが名前の由来である。普通の石鹸は、界面活性という作用によって洗浄力が生まれる。たとえば水と油のように、性質の異なる二つの物質には境界面があるが、これを界面といい、石鹸はこの界面の性質を変えて混じり合うようにしてしまう。この作用で、水と手についた汚れの境界、手と手についた汚れの境界を、いわば取り払って洗浄するというわけだ。一方、逆性石鹸は、この界面活性作用は弱い。したがって洗浄力は弱いのであるが、タンパク質などの陰性の物質を吸着するため、細菌などの表面に吸着して殺菌、消毒作用を示す。また、衣類や頭髪に吸着して、水分を保持しやすくし、柔軟性を与えることから、柔軟剤やリンスに利用されるというわけだ。さて、もし普通の石鹸と逆性石鹸を混ぜたらどうなるか。結果は、陰イオンと陽イオンが結合し、両者ともに界面活性を失って、普通の石鹸の洗浄力も、逆性石鹸の殺菌力や柔軟効果も弱まってしまう。このため逆性石鹸を用いるときは、まず普通の石鹸で汚れを十分に落とした後、水で十分にすすいで洗い流し、その後に逆性石鹸を使うのが効果的である。シャンプーをした後にリンスを使う場合も同じことがいえる。ちなみに、リンスインシャンプーは、陰イオンと陽イオンが結合しないように、陰陽両方の性質を弱く持っている両性界面活性剤という物質を混ぜ、両者の間にはさまって結合しないようにしているのである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820224 |