漢字検定
【かんじけんてい】
松下電工の元営業マンが脱サラして協会設立
根強いブームを巻き起こしている漢字検定。二〇〇五(平成一七)年度には、年間二四〇万人もが受検しているという大人気の検定試験だ。受検の年齢層も、四歳から九四歳までと幅広い。これほど幅広く受検される検定も珍しく、受験や就職に役立つということもあって、若い層でもますます人気が増しているという。そのはじまりは、脱サラした松下電工の元営業マンのアイデア。京都出身の大久保昇さんが、会社を退職して貸しビルを建てた際、テナントとして入った学習塾で、子どもの国語力低下を耳にした。そこで、一九七五(昭和五〇)年、日本漢字能力検定協会を設立して漢字検定を開始した。初回の受験者数は六七二人であった。その日本漢字能力検定協会が主催している企画として有名なのが、「今年の漢字」。毎年、年末に清水寺で発表され、テレビのニュースなどでも報道されているが、二〇〇六(平成一八)年の漢字は「命」。全国公募での応募総数は、九万二五〇九通。そのうち「命」が、八三六三票で全体の九・〇四パーセントで一位となったそうだ。最近では、インターネットやメールの文章作成上で起こった「変換ミス」の傑作を集める変換ミスコンテストもおこなっている。会社の会議用資料を作成したときに、正しくは「遅れてすいません。回答案です」と入力したかったところ、「遅れてすいません。怪盗アンデス」と誤変換されたまま社内メールに載ってしまった例、「五〇〇円でおやつ買わないと」が「五〇〇円で親使わないと」になってしまった例、「もうそうするしか方法がなかった」が「妄想するしか方法がなかった」などなど。もちろん、ミスのおもしろさを評価するコンテストなわけだが、第一義としては、漢字の変換を正しくすることの重要性を理解してもらうことだという。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820203 |