インフルエンザ
【いんふるえんざ】
名前の由来は、ただ単に「影響(インフルエンス)」
風邪とインフルエンザの違いを知っているだろうか? 風邪は単一の疾患ではなく、医学的には風邪症候群といわれるように、くしゃみ、鼻づまり、頭痛、発熱、咳といった、いろいろな症状が合わせて起こる状態のことである。その原因も様々だが、ほとんどは喉や鼻にライノウイルス、コロナウイルスという各種ウイルスが感染することで引き起こされる。一方、インフルエンザは風邪の一種ではあるのだが、原因がはっきりしている。インフルエンザの病原体はインフルエンザウイルスである。高熱が出るなど風邪よりも症状が重く、患者のくしゃみや咳による他者への伝染能力も高い。インフルエンザは英語で「influenza」と書くが、これは「影響」を意味する「influence」からつけられたのではないかとされる。インフルエンザの流行と思われるものが初めて文献に登場するのは、紀元前四一二年のヒポクラテスによるもの。昔は、肺炎を併発するなどしてインフルエンザで命を落とす人も多く、インフルエンザの流行は一大事件だったようだ。当時は病気の原因がわからず、冬になるとはやりだし、春になると終息することから、星や寒気などの「影響」なのではないかと考えられていたという。その「影響」という言葉を病名として、一五世紀にイタリア人が使ったのがインフルエンザという病名の由来と考えられている。日本語では当初、「咳病」や単に「風邪」と呼ばれていたが、その後、「流行性感冒」「流感」と呼ばれるようになった。感冒は風邪の別名でもあるが、この言葉はオランダ語で風邪を意味する「カンバウ」からきているとされる。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820068 |