焼き鳥のルーツ
【東京雑学研究会編】
§焼き鳥のルーツはアレクサンドロス大王?
甘辛ダレは醤油の焦げるにおいが香ばしく、塩焼きなら鶏肉のジューシーさが味わえ、ビールにも酒にも、またワインとだって相性がよく、日本人の酒のつまみの代表といえるのが焼き鳥だ。
ソテーや網焼きと違って、串に刺してあって、調理にも食べるにも簡単というのが、人気の秘密だろう。
農耕民族の日本人ではあったが、魚類のほかにタンパク源として鳥類を獲って食べていたことは間違いなく、すでに平安時代にはハレの日のメニューだったことがわかる記録が残っている。
宮廷での公式の宴会では「別足」と呼ばれるキジのもも肉や、「ひったれ」と呼ばれた胸肉などが、膳を飾っていた。庶民も、キジのほか、身近にいたカモ、ヤマドリ、ウズラ、シギ、ツグミ、スズメなどを焼き鳥にして食べていたという。
ほかにも歴史上の人物が焼き鳥を食べたという記録は、一五世期末の小田原城主・北条早雲や天正年間(一五七三~九二年)の豊臣秀吉にまつわるものなど、かなりある。
朝鮮半島では、肉とネギを串刺しにして卵をまぶして焼いた「サンジャ」という料理があるし、ベトナムではつくね、タイではタレ焼きの焼き鳥が食べられている。
インドからトルコにかけておなじみのシシカバブも、串に刺して肉を焼くという点では焼き鳥の親戚である。
狩猟民族になると、鳥獣の肉を串に刺してあぶって食べたというのは有史以来のことに違いなく、古くはアレクサンドロス大王が、腰に差していた剣を抜いて肉を刺し、火にかざしてあぶって食べたという。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670934 |