野菜
【東京雑学研究会編】
§野菜と果物の違いは何か?
イチゴ、メロン、スイカ、トマト。これらは野菜ともいえるし、果物ともいえる。イチゴやメロン、スイカは、甘くてデザートやおやつとして食べるから、果物の感じが強い。
しかし、官公庁の分類では、この四つすべてが野菜なのだ。
総務庁の商品分類では、野菜と果物の違いは、味や食べ方に関係なくどんな「なり方」をするかで決まる。
種をまいた後、一年で花をつけて枯れる一年生草本類が「野菜」、木やつるのまま何年も成長する多年生の木本類が「果物」だ。農林水産省も、この総務庁の分類に従っている。
イチゴ、メロン、スイカ、トマト。このいずれもが「草」になる。つまり野菜なのだ。「木」の感じがして野菜というにはかなり抵抗があるパイナップルも、草本類で野菜だという。
この商品分類は一九五〇(昭和二五)年に始まった。しっくりこないことがあっても、分類を変えると長期の統計を取る上で比較しにくくなってしまうという。
ただし、民間の分類は官公庁とはまた違っている。
卸売市場では、スイカが野菜と果物の両方で取引されているところもあるそうだ。分類に困って、野菜でもあり果物でもある、という扱いになったらしい。
食事のときにおかずとして食べるものは野菜、デザートやおやつとして食べるものは果物というのが一般的な感覚だろう。
この分類だと、最初の四つのうちトマトは野菜といえそうだが、おやつとして食べる人の立場はどうするのか。
実はこの「トマト問題」はアメリカで裁判になっている。一八九三年の合衆国連邦最高裁判所の判決では、トマトは畑で育てられ、デザートにはならないから野菜という判決だった。この論争は、野菜にかかる関税が発端だったそうだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670936 |