マジックミラー
【東京雑学研究会編】
§マジックミラーはなぜ片方からしか見えないのか?
片方からしか見えないマジックミラーは、警察で証人を容疑者の目から守るためや、エッチな店でお客さんが顔を見られないようになど、さまざまな場面で効果的に使われている。一九七〇年代には、マジックミラーのサングラスも流行った。
光には可逆性があり、普通は一方から見えればもう一方から見えないということはありえない。だが、マジックミラーはそれを可能にしてくれる魔法の鏡だ。ところで、なぜ片方からしか見えないのだろう。
構造としては、窓にレースのカーテンがかかっているとき、外の方が明るい昼間は室内が見えにくく、反対に部屋の中の方が明るい夜間は外から室内がよく見えることを考えてみるといいだろう。マジックミラーは、このレースのカーテンのようなはたらきをしている。
最初に比較のために、普通の鏡の構造を見てみよう。鏡はガラス板の一方の面に水銀などを一様に塗って、はがれないように接着剤で固めたものだ。水銀には光をよく反射する性質がある。
水銀面は滑らかで、しかも乱反射しないため、約九八%の反射光が虚像となって見る者の目に届く。
マジックミラーは、この水銀膜が非常に薄く塗られている。ガラス板は半透明で、光の大部分は反射するが、一部はそのまま鏡の裏側に進んでいく。マジックミラー越しに見えるのは、この一部の光なのだ。
つまりマジックミラーは、原理としてはレースのカーテンやスダレと変わらない。ということは、見える側、見えない側は、そのまま明るい側、暗い側ということになるから、例えばエッチな店で、見られる側を暗く、お客さんの側を明るくすれば、反対にお客さんの姿が見えるわけだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670893 |