フリーズドライ
【東京雑学研究会編】
§フリーズドライ製品のおいしさの秘密は何か?
技術の進歩で、フリーズドライ製品の種類が増えている。
おにぎり、カレーライス、チャーハンから、漬物、納豆、山いも、大根おろしまでないものはないというくらいの品ぞろえだ。乾燥しているから軽量かつコンパクト。アウトドアにはもってこいだし、非常食としても重宝だ。湯、もしくは水でかんたんに戻るし、しかもどんどんおいしくなっている。
「フリーズ=凍らせる」+「ドライ=乾かす」、という意味だから、だいたい想像できるが、そもそもフリーズドライ製品はどうやって作るのだろう。
フリーズドライは「真空凍結乾燥」という。食品を凍結させ、真空状態の中で水分を昇華させる乾燥法だ。
一般にものを乾燥させるには、温度を上げて水の蒸発を早めることが多い。しかし、温度を上げて乾燥させると、水分だけでなく香りや風味もなくなってしまう。
そこで、反対に温度を下げていったん凍らせてから水分を抜くのがフリーズドライ製法だ。
例えば、リンゴを凍らせると、純粋な水だけがカチカチに凍って氷の結晶がつく。その凍ったリンゴを真空状態に放り込むと、水分は固体から気体に昇華して失われ、後には海綿状のリンゴの成分だけが残る。
これがフリーズドライされたリンゴだ。水分がなくなっただけだから、湯や水を加えるだけで元の状態に近くなる。この方法は素材の組織を破壊しないので、香りや味があまり失われない利点がある。
高野豆腐(凍り豆腐)や寒天は昔からこの製法で作られてきた。現在のフリーズドライ製品はもっと大がかりな装置で作るが、原理的には低温での脱水乾燥で変わらない。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670844 |