トンネル②
【東京雑学研究会編】
§日本初の鉄道トンネルは川の下だった!
鉄道や道路のトンネルを思い浮かべると、誰もが山や丘を貫いた通路を想像するだろう。それが一般的なトンネルだ。ところが、日本初の鉄道トンネルは、川底につくられたものだった。しかも、一〇〇年以上も前のことである。
今でこそ海の下を貫くトンネルはあるが、川底のトンネルとは意外である。
新橋~横浜間に日本で最初に鉄道が開通したのは一八七二(明治五)年。その二年後に神戸~大阪間に鉄道が開通する。その全長三二キロの線路には、六つの大きな川があった。
大阪に近い三つの川(十三川、神崎川、武庫川)には、日本初の鉄橋が架けられた。新橋~横浜間の橋は、橋台をのぞいて木製だったが、神戸~大阪間には本邦初の鉄製の鉄道橋が出現したのである。しかし、ほかの三つの川(芦屋川、住吉川、石屋川)は、川底がまわりの地面より高い、いわゆる「天井川」であったために鉄橋を架けて汽車を通すよりも、トンネルを掘って川の下を汽車がくぐるようにした方が簡単だった。これが日本最初の鉄道トンネルを掘った理由である。
最初に完成したトンネルは、現在の東海道本線住吉~六甲道間(神戸市東灘区)にあった、神戸に最も近い「石屋川トンネル」だ。つづいて住吉川のトンネル、芦屋川のトンネルが完成する。このうち芦屋川トンネルと住吉川トンネルは現役である。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670704 |