東京ドーム
【東京雑学研究会編】
§東京ドームの天井の高さはどうやって決めたのか?
春になると日本のプロ野球シーズンが開幕する。二〇〇四(平成一六)年は特に、メジャーリーグのニューヨーク・ヤンキースとデビルレイズが、日本で開幕第一戦を披露するというので、大勢のファンを湧かせたが、その大舞台となったのが、おなじみの東京ドームである。
この東京ドームの天井の高さは、六一・六九メートルあるという。シーズン中はこの中で何本ものホームランが弧を描くのだが、どのようにその高さが決められたのであろうか。
ドームの天井の高さのシミュレーションをしたとき、当時の巨人軍の王・長嶋両選手のバッティング・フォームを高速度カメラで撮影したものを分析したという。その結果、二人のバットの先端のスウィングの速さがわかった。王選手は、秒速三六メートル、長嶋選手は三三メートル。打球の速さは、王選手が秒速四一メートル、長嶋選手は秒速三五メートルであった。
さらに彼らを超えるバッターが出たと仮定して、ボールの飛行距離が、コンピュータによるシミュレーションや多くの参考文献を基に計算された。飛行距離は一三〇メートルと出た。
一三〇メートルのホームランを打つとき、ボールとバットの角度が二二・五度なら、打球の最高高度は約三〇メートル。同じ力で角度四〇度で打つと、最高高度は五八メートルになる。そこで、それより少し高くして、打球が天井を直撃しないよう高さを六一・六九メートルとしたのである。
ところが、東京ドームでの特別ルールを適用されるケースが出た。一九八八(昭和六三)年、阪急ブレーブス(現・オリックスブルーウェーブ)のウィリアムズ選手の打球が天井を直撃したのである。跳ね返った球は三階内野席に落ち、記録はファウル。
同じく特別ルールで最初のホームランになったのは、近鉄バファローズのブライアント選手による打球で、推定飛行距離は一六〇メートル。ドームの記録上最大のホームランとなった。天井から吊るされたスピーカーを直撃したという。
これ以来、スピーカーに打球を当てた選手には三〇〇万円が贈られることになった。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670657 |