倒産
【東京雑学研究会編】
§「事実上の倒産」と「倒産」はどう違うのか?
昨今の不況で大手の会社でも倒産することがある。そういうときに、マスコミの報道を聞いていると「事実上の倒産」という言葉を使っている。はたして、これは実際の「倒産」とどう違うのだろうか。
実は「倒産」という言葉は法律的に定義された言葉ではない。企業の経営が行き詰まり、赤字で借金が増えてしまうと、事業が継続できなくなる。それでも、銀行が必要な資金を貸してくれている間は倒産ではない。しかし、銀行から取引停止処分を受けた場合には、お金を借りられなくなり、営業が続けられなくなる。そのことを慣用的にこう表現しているだけなのである。
具体的には、企業が振りだした手形や小切手が二回不渡りとなって、銀行の取引停止処分を受けた場合に使われる。また、裁判所に会社更生法の適用を申請した場合にも「倒産」という。
すべて失ってしまって「破産」したのであれば、企業は消滅してしまう。しかし、何らかの形で再建を目指している場合は「事実上の倒産」という言い方をするのである。つまり、完全につぶれてしまったのではないという意味を伝えているのだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670658 |