チャンチャンコ
【東京雑学研究会編】
§還暦祝いの赤いチャンチャンコには厄を払う意味があった!
最近赤い下着がファッションになっているのをご存じだろうか。下着の上下以外に、赤色の腹巻などデパートでもよく目にするようになった。何年か前までは、「おばあちゃんの原宿」と呼ばれる、東京・巣鴨の地蔵通商店街の名物商品のような観があったが……。今、若い人にも受けているこの「赤色の下着」。現代の日本人も昔の日本人も、「赤色」を特別な色と考えているようだ。その背景には、何があるのだろう。
かつて着物の全盛時代には、赤い腰巻をつけていた女性が多かった。赤色には、厄除けの呪力があると考えられていたのである。
還暦祝いの赤いチャンチャンコと赤い帽子、赤い座布団も同じである。数え年六一歳の還暦は、昔から厄年と考えられているので、その厄払いのため、赤いものを身につけ、赤い座布団の上に座るのである。
乳幼児に赤いものを着せたり、乳幼児の着物に赤糸で「背守り」を縫い付けるのも同じである。そうすれば、荒神様が守ってくれると信じられていた。赤い色に呪力を認めていたのである。「赤ん坊」「赤子」「赤ちゃん」というのも、単に肌の色が赤みがかっているからではなく、「赤」をつけることによって、病魔を払おうとしたのかもしれない。
ほかには、古墳の壁画に用いられた赤い顔料や、死者の棺に見られるおびただしい朱も、生命の再生を祈って用いられたもので、宗教とも深い結びつきを持っていたようだ。神社仏閣や鳥居の赤の顔料は水銀なので、防腐効果を期待できたと同時に、生命・健康への祈りの心が反映されているのだろう。
赤は興奮と活動の色、生命力あふれる楽しい色、子どものおもちゃから若者の赤いポルシェまで、赤色の持つ意味は、暗黙のうちに脈々と現代にもうけつがれているようだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670614 |