畳②
【東京雑学研究会編】
§畳はなぜ同じ方向に敷かないのか?
畳の部屋に入ったら、その敷き方を見てほしい。畳の長方形を、すべて同じ方向に向けて敷いている部屋は、一般家庭には、まずないはずである。
例えば、六畳の部屋なら、六枚の畳のうち二枚が横で、四枚は縦といった具合である。どうして、わざわざこんな面倒な敷き方をするのだろうか。掃除をするにも、同じ方向を向いているほうが、やりやすいと思うのだが……。
これは、畳を同じ方向にして敷くと、四隅が合うことを、「死」につながるとして嫌ったためである。
一般庶民の家にも、畳が敷かれるようになったのは、江戸時代から。畳の向きを変えて敷くことを「祝儀敷き」と呼んで吉とし、すべて同じ方向に敷くことを「不祝儀敷き(四井敷きとも)」と呼んで凶とした。
婚礼や祝い事、そして日常生活においては縁起のいい祝儀敷きにし、不祝儀敷きにするのは、葬儀など凶事のときだけだった。そのため、必要に応じて畳を敷き変えた。不祝儀敷きを見ることができるのは、お寺や旅館などの大広間だけである。
祝儀敷きといっても、でたらめな向きにしているわけではなく、一定の決まりがある。
まずは、床の間の前の畳を、床の間に平行になるように敷き、残りを同じ方向にならないように敷いてゆく。床の間のない部屋ならば、出入り口の畳がそこに平行になるように敷く。こうすると見た目がよいし、損傷しやすい出入り口の畳も、あまり傷まずにすむのである。
このように、畳は並べ替えることが可能だし、部屋が変わっても使えるという互換性があるが、関東と関西では、畳の寸法が違っている。西日本では一・九〇メートル×〇・九五メートルの京間サイズ、東日本では一・七四メートル×〇・八七メートルの田舎間サイズである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670580 |