生理②
【東京雑学研究会編】
§生理はにおいで伝染する?
「生理って、伝染するのよ」と、真顔で言われたら、あなたはどう思うだろう。
おおかたの人は、「そんなバカな。排卵日は人によって違うんだから、生理日だってバラバラのはずだよ」と考えることだろう。だが、これは、あながち迷信とは言えないし、「伝染る」に近い現象が、よく見られるのである。
例えば女子寮など、大勢の女性が集団で生活をともにしている場では、バラバラであるはずの生理日が、「私、なっちゃった」「あら、私もよ」と、だんだん一致してくるという。途中から入寮し、当初はほかの女性と生理日がずれていた女性がいたとしても、次第に周期が一致してくるという。
これは、排卵日が同調してくるということであるが、排卵日が近くなった女性の体は、フェロモンの元であるDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)を生産している。DHEAは、「性ホルモンの母」と呼ばれる物質で、この増加に伴って、生理中のフェロモンの分泌量も増していく。
月経周期のいちばん早い女性から発散されるフェロモンが、ほかの女性を刺激すると、まだ排卵日が来る予定ではないはずの女性たちまでが発情して排卵が始まり、生理が早くなってしまうのだと考えられている。
ただし、彼女たちは、「あら、このにおいは……、そういえば私もそろそろかな」などと、意識してフェロモンを嗅ぎわけているわけではない。そもそも、フェロモンをにおいとして識別することはできないのである。しかし、無意識のうちに鼻から取り込まれたフェロモンが、脳に察知され、自覚のないうちに発情を呼び起こしているのである。
山歩きをしていた生理中の女性が動物に襲われた、あるいは、散歩中の犬に股間をクンクン嗅がれた、などという出来事がある。これは、血液のにおいのためだという説もあるが、性フェロモンが、異なった種類の生物をも刺激しているのではないかとも考えられている。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670525 |