相撲③
【東京雑学研究会編】
§乗り物に乗るとき、力士は何人分の座席に座っているのか?
大相撲の力士たちの体格はほかのスポーツ選手たちの追随を許さないほど「巨大」である。身長はともかく、体重、胸囲、腰まわり、お尻の大きさときたら並外れている。
力士たちは、国技館での取り組み以外に地方巡業に出なければならない。国内ばかりでなく、海外場所も人気上々のようである。そんなとき、彼らの移動手段も一般の人と同じタクシー、新幹線、飛行機である。力士たちはこれらの乗り物をどのように快適に(?)利用しているのであろうか?
巨漢で人気者だった元小錦関の場合、三人掛けシートに付け人と二人で座っていたそうだ。ほかにも同じようなケースがたくさんある。飛行機に乗って一人で二人分の座席を使う場合、割引制度があり、二席目は半額になるとのこと。だから、一席で不十分な力士は、一人半分の料金で二席を占めることになる。ところが日本相撲協会が負担する巡業の旅費は一人分なので、二人分の座席を必要とする力士は、差額を自分で負担しているとのことである。
今日では東京都の外にも相撲部屋が広がっている。大多数の力士にとってタクシーは、出稽古や場所入りに欠かせない移動手段。ここでも大変な苦労があるようである。巨漢力士は、降りやすさを考えて後部座席中央まで入らず、ドア近くに席を占めることが多いという。左後部が重かったとぶつぶつ言った運転手がいたそうだ。小錦は乗るとき、横になったとも言われている。膝が前座席に当たらないよう足を開いたり、マゲが天井に当たらないよう首を横に曲げたりする力士たち。脱輪、パンクというケースもあったとか。
運転手はあまり力士を乗せたがらない。二人も乗せるとハンドルが重く、その分車に負担がかかり、傷みやすいからだ。そこで、何とか白タクを見つけて乗り込んだ四人の力士たちがいた。彼らは運転手にぶつぶつ言われ、二千円ぐらいの距離なのに一万五千円から二万円もとられたというから、力士たちの日常もいろいろ苦労が多いようである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670514 |