白バイ
【東京雑学研究会編】
§白バイは最初は白くなかった!
車でドライブ中、バックミラーやサイドミラー越しに白いバイクが見えると、ついドキドキしてしまう……というドライバーは少なくないはずだ。たとえスピード違反や飲酒運転といった違反を何一つしていなかったとしても、見ただけでなぜかドッキリしてしまうのだから不思議なものである。
まさにドライバーには絶大な威力を持つ白バイだが、実はかつては白バイではなく、なんと赤バイ。ボディからハンドルまで真っ赤であった。
その赤バイ、つまり現在の白バイの前身が誕生したのは一九一八(大正七)年一月一日のこと。明治の終わりから車社会が始まりつつあった日本だが、最初は交通事故も少なく平和なものだった。ところが、一九一七(大正六)年、つまり白バイの前身が誕生する前年には、交通事故による死者が五一人、負傷者は三六四七人を数えるまでになったのである。
そこで警視庁が交通安全の指導と違法行為の取調べを目的として交通専務巡査制度を作り、機動力のあるバイクによる取締りを開始。赤が選ばれたのは、当時は黒や濃紺といった暗い色調の車が多く、赤を使った派手な車などなかったからである。こうして都内を真っ赤なバイクが走り回ることになり、以後、東京以外の道府県でも大正末までに順次赤バイ隊が組織された。
現在のような白バイになったのは一九三六(昭和一一)年八月一日のこと。時代とともに赤い車が増え、赤バイが目立たなくなったことから、欧米諸国の例にならって視認性の高い白へとお色直しがされたのである。白が「平和と清潔」を表す色だったことも理由の一つと言われている。
こうして七〇年近くもドライバーを驚かせ続けている白バイ。誕生当時のままの赤だったら、さぞかし郵便局員もドライバーをハッとさせていたことだろう。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670479 |