ジャーナリスト
【東京雑学研究会編】
§ジャーナリストのさきがけ福地桜痴の意外な一面
福地桜痴といえば、明治時代のジャーナリストであり『東京日日新聞』で主筆として活躍をした人物である。
一八七七(明治一〇)年の西南戦争では、記者として従軍し、戦況を天皇へ奏上したことでも知られ、開拓使官有物払下事件の際には、彼は記者として大いに活躍している。
そんな実力派の彼、女性好きでもその名を知られていたらしい。
この福地、どうやら芸者通いに熱心だったらしく、気に入った芸者さんを見つけると、お妾さんとしてとても大切にするやさしい一面も持っていた。
ある日、福地のお妾さんが、重い病気にかかってしまい寝たきりになってしまった。このお妾さんの唯一のお気に入りが蓋付きの金時計だった。
時刻を確認する際に開け閉めする金時計の蓋が出すパチン! というはじけるようなあの音が、好きだったらしい。
お妾さんがこの音が好きだと知った福地は、彼女の枕元ではじけるようなあの音を何度も聞かせ続けたのだった。
看病のかいもなく、結局時計好きのお妾さんは、死んでしまうわけだが、このお妾さんの枕元には、音を鳴らしすぎて壊れてしまった蓋付きの金時計が二十数個も並んでいたという。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670437 |