四万十川
【東京雑学研究会編】
§四万十川はなぜ清流なのか?
日本国内の河川の汚染が深刻な社会問題となっている中、高知県の四万十川は「日本最後の清流」として名高く、ほかの河川では絶滅してしまった魚や水棲昆虫が棲息し続けている。
河川の水質汚染の主な原因はゴルフ場、スキー場などのレジャー施設から流れ出る汚染物質、工業化に伴う工場排水、住宅地からの生活雑排水などがあげられる。河川の水質汚染は都市部を流れる河川や流域面積の大きな河川ほど深刻だ。
四万十川は河川の長さ一九六キロメートル、流域面積は二二七〇平方キロメートル。流域には山林が多く、人口も非常に少ないため、生活雑排水の流入が少ない。大きな汚染源となるレジャー施設、工場もほとんどない。
多くの河川は上流のダム建設や護岸工事が生態系に深刻な影響を及ぼしているが、四万十川にはこういった人工の施設はほとんどない。これが四万十川が清流を保ち続けている理由の一つである。
また四万十川は川幅が広く、砂礫が多い川としても有名である。細かい砂礫によって流れの浄化が行われ続け、これによって澄んだ川の水がつくられている。
さらに流域の住民による浄化運動など、住民意識の高さも無視できない。
高知県では四万十川に関するさまざまな問題に取り組むため、県庁内に全国初の河川名を冠した「四万十川対策室」を設置した。
また、流域の市町村と連携し「清流四万十川総合プラン二一推進委員会」「四万十川財団」などを設置したり、「幡多・高幡広域市町村圏事業組合」と連携したりして、四万十川の清流を守るための体制作りに努めている。
高知県では「県はもとより国、流域市町村、住民が連携した総合対策」の必要性をかかげ、四万十川の清流の保持に努力しているのだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670433 |