サッチャー
【東京雑学研究会編】
§サッチャー元首相のファッション・テーマとは?
「鉄の女」と呼ばれた政治家マーガレット・サッチャーは、イギリス保守党初の女性党首で、ヨーロッパ史上初の女性首相だ。
弁護士の資格を取得後、政界へ。一九七九年五月の総選挙で労働党に勝利し、首相の座についた。サッチャーは、国際的競争力を低下させたいわゆる「イギリス病」を克服。一九八二年四~六月のフォークランド紛争では、断固たる指導力を発揮してアルゼンチン軍を降伏させた。保守党の党首として三回の総選挙に勝利し、一一年間の英国統治を維持。空前の長期政権だった。
多くの女性は、女性らしさを演出することに細心の注意をはらっているが、ことサッチャーは、逆に女性らしさを消そうと苦心したという。彼女はなかなかグラマーな体型をしている。しかし、それを武器にするのではなく、政治の世界で男性と互角にやりあうためには、女性らしさはマイナスになると考えたのだ。
そこで、胸元をVカットにしてシャープさを演出したり、バストからウエストまでを直線的に仕立てたりして、女性らしいボディーラインを消した。もちろんスカート丈は長く、ふくらはぎまでおおっていたが、ジャケットも必ずヒップをカバーしていた。こうしてファッション面でも「鉄の女」のイメージが完成したのである。
また、サッチャーが注目された一九八〇年代は、女性の社会的能力が認識された時代でもある。彼女はその象徴として世界中の女性の注目を集めた。
財政引き締めによって小さな政府づくりを目指した経済政策は「サッチャリズム」と呼ばれ、不人気を承知で一連の政策を実施した。その信念に貫かれた強さが、ファッションにも表れているかのようだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670387 |