国会答弁
【東京雑学研究会編】
§国会答弁は出来レースだった?
質問に対して、答えを用意するのは当然の準備といえるのだろうか。会を円滑に運営するために、国会でも委員会での質問事項は事前に、答弁する大臣や担当省庁の長官や局長に知らせることになっている。知らされた側では、想定問答集なるものを作り、理想的な回答を用意しておくのである。
芸能人の記者会見ではレポーターの鋭い突っ込みに、タジタジとなる様子がテレビで放映されたりするが、国会でそれがないのは質問を事前に知らせておくという決まりがあるから。
答える側の大臣の方は、各省庁の官僚が頭をしぼって用意した回答を読むだけなので、やおらカンニングペーパーの棒読みという事態になるわけだ。つまり、ばりばりの出来レースなわけである。
では、その流れを簡単に説明しておこう。委員会の議事日程が決まると、政府委員会の職員は質問する予定の委員をつかまえ、どんな内容の質問をするのか聞き取りをする。これがわかるのは前日ギリギリ。
質問がわかったら、すぐさま答弁のための原稿作りが始まる。これを担当するのは各省庁の文書課である。
そうしてでき上がった、質問と答えといういわば台本のようなものは当日にチェックを受け、質問に答える大臣や政府委員に届けられるのである。
答弁に立つ総理大臣が格好をつけて読んでいるのは、この答弁集だったわけである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670346 |