碁石
【東京雑学研究会編】
§碁石は白と黒とで大きさが違う!
囲碁のセットが家にあるならば、すぐに碁石を手にとって、黒と白の碁石の大きさを比べてみて欲しい。ちょっと見ただけではわからないが、じっくりと比べれば、黒と白では大きさが違っていることがわかるはずだ。
碁石の黒は直径が二二・二ミリで、白は二一・九ミリと決められている。厚みは碁石の等級によって違うが、どの等級のものであれ、黒のほうが〇・六ミリ厚く作られている。つまり、碁石は黒の方が白より大きいのである。
これは色が人間の目に与える錯覚を考慮してのこと。白は膨張色であり、黒は実際より小さく見えるという特性を持っている。だから、白と黒の碁石を同じ大きさで作ってしまうと、全体を見渡したときに、どうしても白の占めている面積のほうが大きく見えてしまうのである。
これではまずいということで考えられたのがサイズに差をつけること。この微妙な差があるからこそ、囲碁は楽しめるのである。
白と黒の持つ特性は、車にも考慮されている。黒の小型車を作らないというのは自動車製造メーカーの常識。小さな車を真っ黒にしてしまうとますます小さく見えてしまうからだ。
喪服の女性が美しく見えるのも、黒い服を着ると痩せて見えることによる場合が多い。すべては「黒は小さく見える」という収斂効果のなせる技。逆に白い服を着ると、全体が膨張するので、本来より太って見えてしまうのである。
少しでも細く見せたいなら、黒い服を着るといいだろう。ただ、いくら収斂効果があるとはいえ、物には限度がある。黒でもごまかしきれない場合があるので、あしからず。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670309 |