結婚式のじゅうたん
【東京雑学研究会編】
§結婚式のじゅうたんが赤いのにはわけがあった!
赤信号で待っていると、やたら時間が長く感じられるものである。青信号の時間も同じはずなのに、なぜか青の時間は短く、赤の時間ばかりを長く感じ、イライラしたことのある人は多いはずだ。
これは赤という色の持つ特性が原因。赤は脳を興奮させる作用が強く、体の新陳代謝を活発にする色だ。その結果、エネルギーはどんどん消費され、エネルギーの消費量が多ければ多いほど、人間はたくさんの時間が経過したと感じるのである。
赤信号が長く感じられるのは、たくさんの時間が経過したと感じるためで、その結果、待っている時間が長く思えるというわけなのだ。
結婚式場のじゅうたんが赤いのも、この時間経過に対する錯覚を利用したいためである。結婚式場は、人気シーズンや大安吉日ともなれば大混雑。次から次へと結婚式や披露宴が組み込まれているので、式場のスタッフは、とにかく時間通りにことを進めることで頭がいっぱい。その結果、ゆとりも落ち着きもないタイムテーブルができ上がり、すべてがバタバタと進行していくのだが、新郎新婦と親族も、さほど嫌がっている様子はない。それどころか、十分に結婚式や披露宴を堪能し、「充実したいい結婚式だったわね」なんて言葉まで飛び出すことがよくある。
これこそ赤いじゅうたんのなせる技。赤を常に見ていることで時間がたくさん進んだように感じるものだから、本来は二時間の披露宴でも、もっと長くその場にいたような気分に浸れるのである。
真っ赤な夕焼けが美しい海辺で、恋人同士が並んで沈む太陽を眺めていると、まるで時が止まったように感じられるもの。実際はたったの五分でも、赤い夕日のおかげで、本人たちは何十分にも感じられるからこそなのである。大好きな人と少しでも長く一緒にいたいと思うなら、赤いものがある場所に行くといい。短い時間でも、きっと長く一緒にいたような気分になれるはずだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670303 |