ガラス
【東京雑学研究会編】
§割れないガラスの作り方
ガラスの世代とか、ガラスのハートと言われるように、ガラスのイメージは壊れやすく繊細である。
しかし、壊れてはいけないガラスもある。例えば、高層ビルの窓ガラスや自動車のサイドガラスなどは割ると、とても危険な状態になるのだ。
そういうことを防ぐために、強化ガラスというものが発明された。
まずは、ガラスが割れるということを説明してみよう。ガラスは割れやすいけれど、実は極めて強度の高い材料である。では、なぜそれが壊れやすいのかということだが、実はガラスは製造工程の中でほかの物体と接触して、表面に無数のキズを作ってしまう。ガラスは縮めようとする力には強さを発揮するのだが、引っ張る力には弱い。衝撃を受けてもあたった面は縮む力で割れる原因にはならないのだが、衝撃で反対側に引っ張る力が生じたときに、無数にあるキズに力が集中し、あっけなく割れてしまうのである。
強化ガラスはこうしたガラスの欠点を補強したものである。
作り方は、普通のガラスを七〇〇度の高熱で加熱し、それを再度急激に冷やして作られる。加熱することで縮む力に強い層ができる。その表面を冷却することで、表面と内部の温度差によって、内部は縮む力に強く、表面には引っ張る力に強いという、強化されたガラスが誕生するのだ。
「焼き入れ」というその処理によって、普通のガラスの三倍から五倍の強さになる。一方に衝撃が加わっても、反対側にも縮めようとする力が働き、なかなか割れなくなるのである。
自動車のサイドガラスなどにも使われているが、衝撃が大きすぎて割れてしまうときでも、破片が粒状になってくれるため、安全である。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670216 |