火事
【東京雑学研究会編】
§火事の消火に使った水道代は誰が払うのか?
考え出すと、どうしても知りたくてたまらなくなることがある。ニュースで火事の報道がある度に、いささか不謹慎だが気になってしまうのが、消火に使う水道量とそれを誰が一体払うのかということである。火が消えてほしいと願いつつ、水の量が気になるのは小市民ならではなのだろうか。
規模の差はあるものの、一度の火災が起きたときに使う水道量は、一般家庭で使う量の二~三か月分に当たる。ということは、万単位の料金になるのは間違いない。
しかし、この水道料金は「水道法」という法律できちんと料金は徴収できないと定められている。「水道事業者は、公共の消防用として使用された水の料金を徴収することができない」という一節がそれである。では、水道業者が払うのかといえば、そうではない。火災現場で使用した水は、おのおのの市町村が負担することになっているのだ。
また、市町村では先の「水道法」によって、消防のための消火栓設置が義務づけられてもいる。この設置や管理についても、それを補償することが義務づけられているのである。つまり、市民の安全を守るために、市町村は消火全般にわたってきちんと設備を整えることになっているのだ。
消火用の水は防火水槽に貯められているのだが、ここに貯められている水のほとんどは水道水である。最近では、耐震性防火水槽なるものも登場した。これは、地震時に起きた火災の消火と、ライフラインが寸断されたときの飲料水として貯められているものである。地震国日本では、その設置が積極的にすすめられているのである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670191 |