カクテル
【東京雑学研究会編】
§カクテルを作るとき、なぜあんなにシェイクしなければならないか?
きりりとしたバーテンダーが、シェーカーを振って作るカクテル。ところで、どうしてあんなに力を入れてシェイクするんだろう。ひょっとして、雰囲気づくりのポーズだったりして?
バーテンダーが必死になってシェーカーを振るのには、ちゃんとした理由がある。
材料を入れて混ぜるだけなら誰でもできるが、それではカクテルの味が全く違ってしまうのだ。
カクテルは、酒と果汁などを調合し、味や香りを楽しむものであるが、材料がまんべんなく混ざり合っていないと、独特の味わいが出ない。卵白の入っているカクテルなどもあり、よくシェイクしなくては、均一に混ざらないのである。
また、カクテルのベースになる酒は、アルコール度の強いものが多い。ざっと混ぜただけでは、強いアルコールのピリピリした舌触りが、そのまま出てしまう。だが、力を入れてシェイクすることによって、アルコールに酸素が混ざって細かな気泡となり、刺激をやわらげてまろやかな味に変えるのである。
カクテルには氷が入っている。シェーカーを振るときのシャカシャカという音は、氷の音である。氷は、もちろんカクテルを冷やすために使うのだが、素早くシェイクしないと、氷が溶けだして、水っぽく味の薄いカクテルになってしまう。
氷の扱いはカクテルの味を大きく左右するので、バーテンダーは、シェーカーもグラスもあらかじめ冷やしておく。カクテルの種類によっても、シェーブドアイス(削り氷)、キューブアイスなど、使う氷の大きさが違っている。あまり大きな氷では、溶けるまでに時間がかかるので、冷え方が足りなくなってしまう。
お客にいい味のカクテルを出すために、バーテンダーは全身全霊をこめてシェーカーを振っているのである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670190 |