カキ
【東京雑学研究会編】
§生食用のカキと加熱用のカキは、どう違うのか?
魚屋さんやスーパーで、「生食用」「加熱用」の二種類のカキが売られている。
生食用が新しいもので、加熱用は古くなったものと思い、どんな料理を作るにも生食用を買う人がいるが、両者の違いは鮮度ではない。細菌数や養殖場所、水揚げ後の処理の方法などに、厳しい基準があるのが生食用なのである。
カキは、内臓ごと食べるものであり、中でも生食用は、加熱しなくても安全なように、食品衛生法で次のように定められている。
◇成分規格は、
1 細菌が一グラム中五万以下
2 E・coli(特定の大腸菌群)の最確数が一〇〇グラム中二三〇以下
3 オキシテトラサイクリン(抗生物質)が〇・一〇ppm以下
◇加工基準は、
1 大腸菌群最確数が海水一〇〇ミリリットル中七〇以下(これは、大腸菌の数が基準値以下の海でとれたということである)
◇保存基準は、
1 一〇℃以下
2 衛生的な容器にパック
このように、特にきれいな海域で養殖し、カキに含まれる大腸菌や、ほかの細菌数が一定値以下であることが求められ、そうでない場合は減菌処理を施さなくてはならない。減菌方法はさまざまだが、紫外線を照射して海水を殺菌し、その海水を一二~二四時間もカキにシャワーし続けて、ほとんど無菌状態にするという生産地もあるほどである。
加熱用のカキには、このような基準はない。収獲したままの状態で市場に出しており、細菌数などはわからない。そのため、生食しては危険だとの理由から、加熱用とされているのである。
ただし、加熱用は減菌処理がなされていない分、生食用よりコクがあって味がいいことが多い。鍋物やフライなど、しっかり火を通して食べるなら、加熱用のほうが適しているのである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670188 |