花王
【東京雑学研究会編】
§花王の三日月マークは昔右向きだった!
企業のマークは、その企業の顔である。花王もまた「三日月顔」はトレードマークだ。しかし、このマークは実は当初右向きだったのをご存じだろうか。
マークが誕生したのは、一八九〇(明治二三)年のことである。そのとき、月は右を向いており、中の顔も男性のようだった。
しかし、時代とともにマークも変遷していった。それぞれの時代の消費者に受け入れられるように、月というモチーフを変化させていったようである。
特に大きかったのは、右向きを左向きに変えたことだろう。一九四三(昭和一八)年、戦争のまっただ中に、花王は月の向きを右向きから左に変えたのである。
実は、右向きの三日月は、ますます月が欠けていく下弦の月である。戦争中という時代もあって、だんだん欠けてしまうのは、業績が尻すぼみになってしまうようなイメージがある。それではまずいということで、左向きの新月から満月に向かうものに変えたわけである。
そして、一九四八(昭和二三)年。男性の顔であったマークは、女性の顔に変わっている。戦争に負けて、軍国主義が消え、消費者の中心は女性になっていくという、時代の風をいち早く感じて、マークに使用したのであろう。
現在のマークに変わったのは一九五三(昭和二八)年である。女性的な笑顔は、女性をターゲットにした同社にぴったりだったのだろう。もう半世紀もそれが使用されているのである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670186 |