宇宙②
【東京雑学研究会編】
§返事が四万二〇〇〇年後に届く宇宙への手紙がある?
地球以外の宇宙に生物がいるのなら、地球側から呼び掛けてみようと作られたのが「アレシボ・メッセージ」だ。
一九七四年、アメリカ自治領プエルトリコ島にあるアレシボ電波望遠鏡の直径三〇五メートルの固定型アンテナの張り替えが行われ、その結果アンテナの性能が向上して波長六センチまでの受信が可能になった。
これを記念して、三分間、周波数二三八〇メガヘルツ、出力三兆ワットの電波に乗せてアレシボ・メッセージが発信された。
発信された内容はシンプルな一枚のデジタル画で、発信先はヘルクレス座の球状星雲M13だ。
M13は総数三〇万個にも及ぶ星から構成される星団で、視直径(目で見たときの大きさ)は満月の二倍にもなる、夜空では存在感のある星団だ。
その中に文明を持つ生物がいれば、電波に乗せたアレシボ・メッセージを受信、解読して地球に返事を送ってくれるかもしれないのだ。
ただし、M13から返事を私たちが読むことはできそうにない。
なぜならM13までの距離は地球から約二万一〇〇〇光年。つまり、光や電波が届くのに二万一〇〇〇年もの時間を必要とする遠い所にある星団なのだ。届くのに二万一〇〇〇光年かかるということは、返事が帰ってくるのは四万二〇〇〇光年後ということになる。
もっと近い恒星に向けてメッセージを発信した試みもある。
一九八七(昭和六二)年に一六光年先にある、たなばたの「ひこ星」として知られるアルタイルに向けてメッセージが送られたのだ。
このとき、メッセージを送ったのは日本のある出版社で、送られたのは子どもたちの音声メッセージのほか、太陽系、生命やその進化などが描かれた一三枚のデジタル画像だ。うち一〇枚は地球上の生命の進化を表現したアニメーションとなっている。
もしアルタイルの惑星に知的生命体が存在して返事を戻してくれるなら、二〇一九年にはそれが地球に届くことになる。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670085 |