腕組み
【東京雑学研究会編】
§考え込むとき腕組みしてしまうのはなぜか?
文章を書くのが苦手な営業マンは、報告書を書こうとパソコンの前に座るが「さて、どう書こう」と、キーボードに手を伸ばさず腕を組む。あるいは、彼女の誕生日に何をプレゼントしようと考えながら、「う~ん」と目をつぶって腕組みする。
こんなふうに、考えごとをするとき思わず腕を組んでしまうのは、精神を統一するための無意識の行動だ。
腕を組むと、自分の胸を抱える格好になり、胸元が隠れるので、ちょうど心臓をかばうようなポーズになるわけだ。こんなポーズをしている人を他人から見たら、その人が防御姿勢をとっているように見え、近づきがたかったり声をかけづらかったりするはずだ。
そう、腕を組むというのは、周囲の物音や他人の存在を気にせず、気持ちを何かに集中したいときに、つい出てしまうしぐさである。おもしろいことに、この腕組みは伝染するようで、相手が腕組みしているのを見ると、自分も腕組みしてしまうことがある。相手の集中を感じ取って、じゃまにならないよう無意識のうちに自分も自分の殻にとじこもろうとするのだろう。
だから、友人に相談ごとを持ちかけられたときなど、じっくり話を聞こうとして腕組みをしてしまうと、相手はこちらが殻にとじこもったと感じることになりかねない。「真剣に話を聞いてくれているのだろうか」と不安になって、本当に打ち解けた話をしてくれなくなる可能性も出てくるから気をつけよう。
もちろん相談ごとに限らず、昼休みなどの日常的なおしゃべりであっても、相手ときちんとコミュニケーションしたいなら、腕組みはしないで話すのがいい。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670087 |