ウソ発見器
【東京雑学研究会編】
§ウソ発見器はどのようにウソを見破るのか?
犯罪捜査でよく使われるウソ発見器。その名前は一般の人間にとってもずいぶんおなじみのものになった。この正式の名称は「多現象同時記録装置」(ポリグラフ)という。犯罪捜査だけでなく、心理実験にも使われる。アメリカでは一般企業の採用試験においても活躍する機械だそうだ。
「多現象」というのは、人体に見られる各種の異なる生理反応のことで、それらを同時に記録する機械がポリグラフである。例えば、脳波、心電図、血圧、呼吸、脈拍、皮膚温、皮膚に流れる電気・皮膚電気反射(GSR)などを記録する。
人間は、不安、恐怖、羞恥、緊張などの感情の乱れで大脳中枢が興奮し、汗腺が刺激される。ポリグラフの鍵はこの発汗にある。汗をかくと電気抵抗が下がるので、電流がそれだけたくさん流れ、グラフが大きく揺れるというわけ。
測定方法は、手のひらや指先に電極をつけて通電する。汗腺には体温を調節する温熱性汗腺と、緊張により発汗する神経性汗腺があるが、手のひらや指の間には、この神経性汗腺が特に多い。そのため手のひらがGSR測定には最も適している。
しかし、ポリグラフに任せればそれだけでウソを発見できるというわけではない。医師が聴診器、血圧計などを用いて、病気の診断をするように、ポリグラフも資格のある検査者が操作し、記録された種々の反応をもとに、検査を受けている者のウソを見破るのである。
ポリグラフ検査には、いくつかの質問法が工夫されている。一連の質問群に対して現れた生理反応の比較対照が重要な作業なのだ。
基本的な質問法には、事件への関与を否定する者が、ウソをついているかどうかを直接検出する「虚偽検査」と、犯人しか知ることのできない知識・情報を持っているか否かを検出する「情報検査」がある。ウソをついていることを本人に自覚させ、動揺を誘うなど、コツがあるそうだ。これらの質問法こそウソ発見の決め手と言える。
現在、犯罪捜査におけるポリグラフの正確度は九割以上という。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670082 |