アンモナイト
【東京雑学研究会編】
§「神様の角」と古代エジプトの密接な関係
アンモナイトは、アンモナイト目の軟体動物で、巻いた殻を持つ。殻は直径数センチのものから二メートルにおよぶものまであり、内部は多くの壁で仕切られ、オウムガイに似ている。アンモガイ、菊石とも呼ばれ、古生代デボン紀(約四億八〇〇万年前~三億六〇〇〇万年前)に出現し海中で大繁栄したが、白亜紀(一億四四〇〇万年前~六五〇〇万年前)末に絶滅した。
日本でも、北海道をはじめ各地で発見されており、示準化石の一つとされている。その神秘にみちた姿は、たびたびインテリア製品にもうめ込まれたりしている。
さて、アンモナイトという名の語源は、古代エジプトの太陽神、アメン(アンモン)に由来する。螺旋状に巻いた貝殻が、羊頭のアメン(アンモン)神像の角によく似ていたことから名づけられたという。
アメンは、もともとは大気・豊饒の神であった。大帝国の守護神として勢威は絶頂を極め、後にヘリオポリスの太陽神、ラーと合体してアメン・ラー(太陽神)と呼ばれ、神々の王とされた。
旧約聖書ではエジプトを代表する神とされ、ギリシア人は、最高神ゼウスと同一視したという。
神々の王の姿に由来するアンモナイト。螺旋状の貝殻の表面には、ほう合線と呼ばれる美しい模様が刻み込まれ、太古の昔を偲ばせる。なるほどその荘厳な姿は、化石の中の王と呼ぶにふさわしい。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670036 |